以前労災保険について説明しましたが、今回で保険の話は最後になります。
今回は会社員の方ならご存知の雇用保険についてご紹介します。
雇用保険とは労働者が失業した場合などに必要な給付を行ったり、再就職を援助する保険の事です。
雇用保険の概要
では雇用保険の概要について説明します。
対象者
対象者は企業に勤めている労働者になります。
経営者である社長や役員、個人事業主、あるいはそれらの家族は加入する事ができません。
保険料
保険料は事業主と労働者で負担します。ただし、その負担額は企業によって様々あり、折半ではありません。
保険料率と負担割合は業種によって異なります。
以上が概要になります。
2016年までは、65歳になった日以降に新たに雇用保険に加入する事ができませんでしたが、2017年以降は、65歳以上の労働者も雇用保険の適用対象となりました。
雇用保険の給付内容
基本手当(求職者給付)
基本手当(求職者給付)とは、失業者(働く意思はあるが、失業している者)に対する給付で、一般に失業保険と呼ばれています。
基本手当の給付額と給付日数
基本手当は、労働者が失業した場合に離職前6ヶ月間の賃金日額の45〜80%が給付されます。
基本手当の給付日数は、失業の理由や被保険者期間、年齢によって異なります。
自己都合及び定年退職の場合

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
倒産、会社都合の解雇等の場合

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
受給要件
受給要件は、離職前の2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あることです。
ただし、会社都合の倒産・解雇等の場合には、離職前の1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば給付を受けることができます。
待期期間と給付制限
基本手当てを受けるには、居住地のハローワーク に離職票を提出し、求職の申込みをします。
待期期間というのは、求職の申込みを行った日から7日間は支給されないことです。
給付制限は、自己都合退職の場合に、待期期間の7日間に加えて、原則3ヶ月間は支給されないことをいいます。
就職促進給付
就職促進給付は、再就職の促進と支援を目的とした給付で、一定の要件を満たした基本手当の受給者が再就職した場合や、アルバイト等に就職した場合に支給されます。
教育訓練給付
教育訓練給付は、労働者が自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する講座を受講し、修了した場合にその費用の一部が支給されることをいいます。
教育訓練給付には以下の3つがあります。
一般教育訓練給付金
雇用保険の被保険者期間が3年以上の被保険者が、厚生労働大臣指定の教育訓練を受講し、修了した場合に支給されます。
初めての受給の場合は被保険者期間は1年以上になります。
給付額は受講料などの20%相当額になります。ただし、上限は10万円になります。
特定一般教育訓練給付金
雇用保険の被保険者期間が3年以上の被保険者が、厚生労働大臣が指定する特定一般教育訓練を受講し、修了した場合に支給されます。
ここでの特定一般教育訓練とは、速やかな再就職及び早期のキャリア形成にあたいする教育訓練のことを指します。
初めての受給の場合は被保険者期間は1年以上になります。
給付額は受講料などの40%相当額になります。ただし、上限は年間20万円になります。
専門実践教育訓練給付金
雇用保険の被保険者期間が3年以上の被保険者が、厚生労働大臣指定の専門的かつ実践的な教育訓練を受講し、修了した場合に支給されます。
初めての受給の場合は被保険者期間が2年以上になります。
給付額は受講料などの50%相当額になります。ただし、上限は年間40万円で給付期間は最長3年です。
また、資格取得のうえ、就職に繋がったらプラス20%支給されます。ただし、上限は年間56万円になります。
専門実践教育訓練給付金には、教育訓練支援給付金があり、45歳未満の離職者などがこの給付金を利用する事ができます。
教育訓練期間中に、この給付金を受けることができます。
教育訓練支援給付金の給付額は、受講期間中に雇用保険の基本手当相当額の80%になります。
雇用継続給付
雇用継続給付は、高齢者や介護をしている人に対して必要な給付を行い、雇用の継続を促すための制度です。
雇用継続給付には以下の2つがあります。
高年齢雇用継続給付
被保険者期間が5年以上の60歳以上65歳未満の被保険者で、60歳到達時の賃金月額に比べ、75%未満の賃金月額で働いている人に対して、各月の賃金の最大で15%相当額が支給されます。
介護休業給付
家族を介護するために休業した場合で、一定の条件を満たした時に支給されます。
育児休業給付
満1歳未満の子(パパママ育休プラス制度を利用する場合には、1歳2ヶ月未満の子。または、一定の場合は1歳6ヶ月または2歳未満の子)を養育するために育児休暇を取得した場合、休業前賃金の67%相当額(6ヶ月経過後は50%相当額)が支給されます。
パパママ育休プラス制度とは、父母が同時または、交代で育児休暇を取得した場合、子が1歳2ヶ月になる前日まで育児休暇を取得する事ができる制度です。
まとめ
今回紹介した雇用保険は、私たちに馴染みのある保険だと思います。
ただ、雇用保険の中身を詳しくご存知の方は少ないのではないでしょうか。
今回紹介した内容も踏まえて改めて雇用保険について考えてみてください。